地元にしかない持ち帰り専門のお寿司屋さんでアルバイトをしていました。
そこはスーパーに併設された小さなお寿司屋さんでしたので、アルバイトの人数も少なく、ほとんど店長と二人っきりという状態でした。
そのためアルバイトは接客も調理もしなければなりません。初めは簡単な細巻きの作り方から始まります。
各メニューごとにご飯の量がグラム単位で決まっており、手の感覚だけでほぼ正確にご飯を取れるように練習をします。
最初は無理だと思っていましたが慣れとは面白いもので、最終的には誤差2グラムぐらいでご飯を取れるようになっていました。
アルバイトは基本的に細巻き、太巻き、稲荷寿司、押し寿司、軍艦巻きだけです。しかしそれらにも慣れてくると握り寿司も教えてもらえます。
本職の方には到底かなわないような出来ではありますが、安さが売りのチェーン店では問題ないレベルまで引き上げてくれます。
基本的には学校終わりに数時間という勤務形態でしたので、まかないというものはありませんでした。
しかし、マグロなどを多めに仕入れられたときには大トロを店長自ら握ってくれたりします。
学生にとっては贅沢品であるお寿司をタダで食べられるとあって、とても嬉しかったです。
大変だったのは、お客さまがショーウインドウを指差し、「これください」とだけ言われることです。
カウンター内にいるとショーウインドウの中にあるサンプル商品が見えません。
そのため、「これ」と言われても、お客様が指差す「これ」が「どれ」なのかわからないのです。
そのため、お客様の目線、指の角度、決めるまでの会話などである程度商品を予測。
ショーウインドウのどこに何の商品があるかなどを覚え、「○○(商品名)でよろしかったですか?」と確認をとる形になります。
たまに間違えて、お客様に変な顔をされることもあって申し訳なくなることもありました。
また、メニュー名の漢字を間違って読んで注文されることもあり、どれのこと?と会話が噛み合わないこともありました。
しかし、地域密着型なので常連さんもできます。顔や名前を覚えてくださり、時にはいつもありがとうと言って飴やお菓子をくれるお客様もいました。
そういう時はやはり嬉しく、頑張ろうと思えました。
このお寿司屋さんが私にとって始めてのアルバイト先だったので、接客などのいろはを全て教わったのでとても印象に残っています。
このアルバイトで覚えたお寿司の作りかたは今でも覚えています。